『異常(アノマリー)』を読んだ。難解だけど面白い、SF好きの正直な感想

映画・本

読書の秋ということで、以前から気になっていた『異常(アノマリー)』を読んだ。

フランスの作家エルヴェ・ル・テリエによる小説で、2020年のゴンクール賞を受賞した作品だ。

もともとSFが好きなのと、小島秀夫さんが評価していた作品だったのも、手に取ったきっかけだったと思う。

ちなみに、SFは大好きなんだけど、設定が複雑になると毎回のように理解が追いつかなくなる。笑

今回も例外ではなかった。

あらすじを知らずに読んでほしい

この本について、詳しいあらすじは書かないことにする。

というのも、出版社の紹介記事でも、何も知らないで読んでほしいと薦められているから。

最初はずいぶん大げさだなと思ったけれど、読み終えた今なら、その意味がよく分かる。

物語の仕掛けを知らない状態で読み進めること自体が、この作品の楽しみ方の一つなのだと思う。

これから読む人には、できれば何も調べずにページを開いてほしい。

登場人物がとにかく濃い

この作品で特に面白かったのは、登場人物それぞれの人生が丁寧に描かれていること。

物語は複数の人物の視点から進んでいくのだけれど、一人ひとりにしっかり焦点が当てられているので、自然と感情移入できた。

しかも、みんな本当に濃い。

抱えている事情も、考え方も、生き方もまったく違う。

救いのある人もいれば、そうでない人もいる。時には「作者、ちょっと趣味悪くない?笑」と思うほど残酷な展開もある。

でも、誰もが幸せになれるわけではないのも人生なんだろうな、と感じた。

SFとしての設定はかなり非現実的なのに、そこで描かれる人間模様には妙な現実味がある。

この群像劇としての面白さがあったからこそ、難しい設定に苦戦しながらも最後まで読み進められたのだと思う。

SFなのに、魂や人間の存在まで考えさせられる

もう一つ印象的だったのが、物語の中で科学や宗教、哲学の視点から、人間の存在そのものについて議論が交わされること。

「魂とは何なのか」「私たちが当たり前だと思っている現実とは何なのか」

こういう問いが出てくると、一気に頭がこんがらがる。笑

ただ、そこが面白かった。

普段は疑いもしない現実や、自分の感情さえも、もしかしたら思っているようなものではないのかもしれない。

そんなことを想像すると、面白いと同時に少し恐ろしくもなる。

哲学的な部分を全部理解できたかと聞かれたら、正直かなり怪しい。

それでも、読み終わったあとまで考えが残る作品だった。

ちなみに、トランプ大統領を揶揄するような皮肉の効いた描写もあって、そういうところは思わず笑ってしまった。

結末は新鮮。でも、好みではなかった

そして結末。

正直なところ、「え、これで終わり?」と思った。笑

もちろん、意図的な終わらせ方なのだろうし、最後の表現方法はかなり印象に残っている。

こんな終わらせ方もあるんだな、と感心した部分もあった。

ただ、演出が新鮮だったことと、その結末が好きかどうかは別の話。

個人的には、もう少し違う着地の仕方があってもよかったんじゃないかと思ってしまった。

ここは好みが分かれるところかもしれない。

個人的な評価は星4つ!

★★★★☆(4/5)

設定の斬新さ、登場人物それぞれの濃い人生、そして科学や哲学に踏み込む世界観。

話題になるだけの面白さは十分にあったと思う。

一方で、難解な部分を理解しきれなかったことと、結末があまり好みではなかったことから、個人的には星4つ。

万人におすすめできる作品かは分からないけれど、SF好きなら一度読んでみてほしい。

再読すれば新しい発見もありそうだけど、積ん読が多すぎてそんな余裕はない。笑

もし映像化されたら、きっと見ると思う。

『異常(アノマリー)』が気になった方はこちら!(PR)

異常【アノマリー】 (ハヤカワepi文庫) [ エルヴェ・ル・テリエ ]

コメント

タイトルとURLをコピーしました